ウェディングのフリーランスが下請け・孫請けから脱却するまでの具体的な手順

ウェディング業界で働くフリーランスは主に下請け・孫請けの仕事をしています。それ自体は全く問題ないことですし、悪いことでも何でもありません。しかし、婚礼件数が減少してフリーランスが増えていく未来がほとんど確定している状態では、単価が下がっていくことは目に見えています。

なぜなら、技術が同じ程度であれば企業は安い人を選ぶのが普通ですし、フリーランスが余っていくらでも選べる状況になれば需要と供給のバランスが逆転するので報酬は下がります。今年が2019年なので恐らく3年〜5年以内に目に見えて分かるようになっていくと推測します。

多くのフリーランスがうまくいかない理由は感情に身を任せて行動し、計画性がないことが原因

来た案件をただこなしている毎日では、成長スピードが著しく低下します。フリーランスは自由な反面、管理してくれる人が誰もいないので、自己責任のもとで感情に身を任せて行動しています。

そうなると楽しいことを優先し、大事なことを後回しにする人間の悪い癖がどんどん育っていってしまい、習慣化されます。フリーランスになってから数年経つのに技術以外で成長した気がしない人は、多くの場合感情を優先した行動をして、気分が乗ったときに動くといったことを繰り返してきた人の可能性が高いです。

好きなことだけやって生きていける人は全体のほんの一部、恐らく1%くらいです。その1%の人も運よりも努力によって成功した人が99%くらいでしょう。ほとんどの人はうまくいっている人を見ると表面的な部分しか見ませんので、まるで好きなことだけやっていたらうまくいった人のように思ってしまいます。しかし、その裏にはその人とその周りのごく一部しか分からない苦労や努力が必ずあります。真似をするならその部分を真似するべきです。

まずは事前準備が重要

独立したてのフリーランスや、結婚式場から依頼された業者からの発注という孫請けの案件がメインの人が、いきなりその状態を脱却するのには無理があります。しかし、これからお伝えする事前準備をしっかりと実行してからであれば半年かからずに脱却できる可能性があります。

1 自己分析を徹底すること

最初にやるべきことは自分の強みや弱み、好きなこと、やりたくないことを徹底的に分析することです。ヘアメイクなら、他の人と比べてどこが優れているのか、どんなところにこだわっているのか、自分にしか出来ないことは何かを考えます。

重要なことは総合能力で考えることで、例えば技術はまだまだだけど、自分は誰よりも営業に自信があるという人は、技術がうまい人と組んで自分自身はどんどん仕事をとってくればいいのです。

また、技術でも全国と比べないで、自分の商圏の中でどうなのかを考えると、かなり上位にいる場合があるので成功しやすいです。技術や営業の他にも、独自の人脈、昔別の業界にいたときのノウハウなども強みの一つになります。

2 競合を分析すること

競合の業者やフリーランスの強みや弱みを徹底的に分析します。具体的には価格、品質、商圏、得意分野、ブランド力、ターゲットなどです。その分野で成功している強者と同じことをやってもうまくいく可能性はかなり低くなります。誰もいないところ、もしくはここなら勝てるというポジションを見つけ出すことが重要なのです。

もし勝てるポジションが見つけられなかったら、どんどん範囲を絞って見てください。例えばウェディングの中でもレストランウェディングに特化したり、ホテルウェディングに特化したりするとそれだけでもヒントが見えてきます。それでも見つからなかった場合は、自分の強みをさらに磨いて他の人にも勝てる武器を持ちましょう!

3 誰に買って欲しいのかを決めること

ペルソナ設定やターゲティングと呼ばれるものですが、先程のポジションを踏まえた上で、自分の商品やサービスを誰に買って欲しいのかを決めます。例えばビデオグラファーなら、そもそも新郎新婦に買って欲しいのか、それとも式場から選ばれたいのか、フリーのウェディングプランナーなのか、プロデュース会社なのか、選択肢はたくさんあります。

例えばフリーのウェディングプランナーに選ばれたいのであれば、どこの誰なのかを決めます。東京に住んでいる人なのか、関西に住んでいる人なのか、年齢、性別、商圏、月の婚礼件数など、できるだけ細かく設定し、具体的なイメージに落とし込みます。そして、その人に選ばれるためには何をすればいいのかを考えます。

例えばFirst Filmの場合、新郎新婦から直接選ばれること、ホテルウェディングを中心に選ばれるようにすると決めています。性別、年齢、職業、住所、勤務地、性格、容姿、年収、家族構成、趣味など、あらゆることが決まっていてマーケティングに活かしています。その結果、9割以上は設定した通りの方々に選ばれています。もしも、誰からも選ばれたいと思って集客していたら、逆に誰からも選ばれなくなっていたと思います。

集客するための手段は大別すると2つ

自分の強みを理解して、競合がいない、もしくは少ないポジションを見つけ出し、誰に買って欲しいのかも具体的に決まったら次にやるべきことは集客です。集客には大別して2つのやり方があります。

A 人脈の拡大で仕事をもらう方法

異業種交流会や同業者の集まる交流会、勉強会、セミナー、その他趣味のコミュニティなどで人脈を広げて仕事をもらう方法です。異業種交流会などは安いものに参加すると、仕事が欲しい人ばかりが集まっている可能性が高いです。

さらにいえば、もし仕事になったとしてもお金がないので安く叩かれたりします。参加するなら最低でも1万円以上、できれば5万円以上の交流会がいいと思います。価格が高くなればなるほど、レベルの高い人が集まるからです。

勉強会やセミナーも同じで、人脈作りが目的であれば、できるだけ安い金額のものは避けたほうが効率が良いです。努力して自分なりの質の良いネットワークを構築したら、そこからでもかなりの仕事が来るようになります。ただし、営業能力や商品・サービスの品質は高くなければなりません。

LINE交換>Facebook友達申請>名刺交換

今の時代、名刺交換にそれほど意味はありません。無意味な儀式と言ってもいいと思います。一番効率が良い方法はLINEのIDを交換することです。気軽にメッセージを送れるし、堅苦しい文章も必要ありません。スタンプでもいいくらいです。

とはいえ、いきなりLINE教えてくださいと言っても怪しいだけですので、相手とのコミュニケーションは絶対必要になります。人脈を拡大するのなら名刺を集めずにLINE友達をひたすら集めるようにしましょう。

B インターネットを駆使した集客方法

こちらは人と会う必要がほとんどない地味なやり方です。SNSやホームページを駆使して自己発信で認知を拡大させて、価値を伝えて購入してもらう方法です。パソコン一台あれば誰でもできるし、営業能力は必要ありません。対人の営業と違い、一度構築すれば信じられないくらい大量の人に認知してもらうことができて、自分が寝ているときも遊んでいるときも勝手に集客してくれます。

デメリットは構築するまで時間がかかること、WEBの知識を学ばなければならないことです。スマホが当たり前になった今の時代ならば、WEB集客はマスターしなければライバルにどんどん遅れをとることになります。

WEB集客で重要なことは考え方

SNSやホームページを駆使して集客する場合は、考え方がとても重要です。例えばここ数年で一気に人気となったYoutuberというジャンルですが、なぜ彼らが一気に有名になるかと言えば、一度動画を公開すれば自分が何をしていても自分の分身である動画が24時間365日自分の変わりに働いてくれているからです。

100動画あれば100人の自分の分身がずっと認知度を拡大し続けてくれています。ブログも同じで、一度書いてしまえばその記事がずっとアクセスを集め続けてくれます。この考え方がとても大切なのです。WEB集客についての具体的なやり方はこちらの記事を参考にしてみてください。(参考記事:ウェディング業界のフリーランスがWEB集客するためにやるべきこと

どちらの道を選んでも努力なしには実現できない

2つの方法はどちらかを選ばなければならないわけではありません。むしろどちらもやるのがベストだと思います。得意不得意が人それぞれありますので、できることなら得意な方をやりたいはずです。

しかし、少なくとも本気でずっとフリーランスで生きていくのであればインターネットでの集客は避けては通れない道といえるでしょう。そしてどちらの道を選ぶにしても相当な努力は必要になりますので、その覚悟はしておくべきです。何となく過ごして来て気づいたら取り返しのつかない歳になっていたということにならないように、今からしっかりと学ぶことを学んでおくことをおすすめします。

自分のレベルが上がれば付き合う仲間は変わっていく

努力をして行動量が増えてくれば経験値も増えます。そうなれば自分のレベルも上がっていき、自分の成長に合わせて付き合う仲間も変わっていきます。自分が成長すれば今の仲間からは理解されなくなり、色々なことを言われるようになりますが、気にしなくて大丈夫です。

何かを批判する人よりもワクワクできるようなことを言ってくれる仲間と付き合う方が遥かに楽しいし、そんな仲間はどんどん成長します。よりレベルの高い次の仲間がすぐにできるので、これまでの人と無理に付き合う必要はありません。むしろそんな批判を気にしたり恐れたりして後戻りしてしまう人も多いので、気をつけましょう!

ウェディングのフリーランスが行うべきリスクヘッジ

どの業界でもフリーランスでいる限り、例外はあれど基本的には自分が倒れたら収入が途絶えます。せっかくお仕事を振ってくれていたクライアントにも迷惑をかけて、最悪の場合取引中止になる可能性もあります。

また、損害賠償や裁判リスクも考えなければなりません。下請けや孫請けの場合はそのあたりのリスクは最低限で済む可能性もあります。しかし、そこから脱却して一人でやるということは、あらゆることを想定して予め対策しておくことが重要です。

特にウェディングの場合はインフルエンザやノロウィルスなどの病気、交通事故、公共機関の遅れや運行休止、天災などの不可抗力によるリスクが他業界よりも高いです。できる限りのリスクヘッジが必要になります。

突き詰めていくとリスクヘッジの一つはチーム化・組織化になる

定義は人それぞれですが、ウェディングの場合はリスクを考えると自分の代わりがいる状態を作り上げることが一つの正解になります。結婚式当日に事故にあってもすぐに代わりの人が行ってくれる状態ならば何とかなります。

例えばフォトグラファーの場合で考えると、常に二人以上のチームで誰か一人は必ず土日に待機している状態にしておくことです。何もなくてもその間は編集作業に没頭できるし、ブログやSNSといった集客の作業もできます。

これはヘアメイクにしてもプランナーにしても司会者にしても同じことが言えます。チーム化・組織化についての記事はこちらの記事を参考にしてください。(参考記事:ウェディングのフリーランスがチームになるまでの過程と行動

1社依存をやめてクライアントの分散を考えること

一つの企業からの仕事に依存していると、なくなったときに売上の全てが消えてしまいます。また、そのリスクがある分、交渉でも相手の条件を飲まざるを得なくなります。そうならないためにもクライアントは分散しておくことが重要です。

しかし、ウェディングの仕事は基本的には土日祝日しかないので、それを実行するのは現実的に難しいです。そうなると平日の仕事を生み出す必要があります。幸いウェディングに携わっているフリーランスは技術職が多いので他の市場でも十分に通用します。

例えばフォトグラファーならウェディング以外の広告や学校写真、ファミリーフォト、キッズフォト、スタジオ運営などの選択肢があります。ウェディングも2社程度であれば掛け持ちが可能です。常にどちらかの仕事がなくなってもいいように備えることが大切です。

自分の武器となるものを増やして組み合わせる

例えばビデオグラファーならトークスキルを新たに身につければこれから映像を学びたい人に対してワークショップやセミナー講師ができます。文章を書くのが得意ならばブログで収入を得ることも可能ですし、マーケティングを学べばコンサルや別の商品を売ることも可能です。

一つのスキルだと競合だらけでも組み合わせることによって一気に誰もやっていない分野になったりします。またメイン以外のもう一つのスキルを身につけることで、新たな仕事を得られるきっかけにもなります。できれば3つ以上の組み合わせができるようになると希少価値は跳ね上がり、収入も増えてリスクヘッジにもつながるので理想的です。

まとめ

ウェディングのフリーランスは下請け・孫請けだと近い将来それだけで生計を立てることが難しくなることが予想されます。そうなればウェディング以外の仕事や新しいスキルや知識が必要となり、そのときになって焦って学ぶよりも今から学んでおいた方が圧倒的に有利な状況になります。

経験や知識が身につけば、今いる仲間とは違う仲間ができていきます。チームにするにしても最初からやるよりも自分が仕事に困らなくなって成長した段階で組むと効果的でしょう。

そして、しっかりと実行していきリスクヘッジも整えておけば将来の不安要素のほとんどはなくなります。ウェディング業界はフリーランスの方がいなければ成り立たない業界です。それにも関わらず、業界構造的にフリーランスにとって厳しい環境になっています。このサイトや記事で少しでも今活躍しているフリーランスの皆さんがお役に立てていただければ幸いです。

関連記事一覧