ウェディング業界で働くフリーランスが上手くいくために必要な9つのこと
目次
ブライダル業界で働くフリーランスは3パターン
結婚式に携わるフリーランスは大きく分けて3パターンの働き方があります。
A 結婚式の仕事のみで生計を立てているフリーランス
結婚式の仕事は基本的には土日祝日です。稀に美容業界やアパレル業界で働く方が、平日挙式するカップルもいますが、それほど多くはありません。したがって、ブライダルのみで生計を立てているほぼ全てのフリーランスは、土日祝日を中心に仕事をして収入を得ています。フォトグラファーやビデオカメラマンであれば、平日は編集業務を業務委託で請けたり、内勤のアルバイトをしたりしています。
B 異業種の仕事をしつつ、土日祝日は結婚式の仕事をしているフリーランス
平日は別の仕事をして、土日祝日はウェディングの仕事をしているパターンです。司会者であれば平日は企業イベントやパーティの司会、ヘアメイクであれば広告のモデルのメイク、フォトグラファーであれば学校行事の撮影や広告の撮影などして、収入源を分散しているフリーランスのことです。
C 平日はサラリーマン、土日祝日はウェディングという副業パターン
ブライダル以外の業種で、会社員や契約社員、アルバイトとして平日は働き、土日祝日に結婚式の仕事を副業としてするパターンです。
ある程度の固定給にプラスして、土日の収入が手に入るので、3つの中では一番安定した働き方になります。
ただ、休みの日が全然なくなるので、副業としてやる仕事が好きでないと続かないかもしれません。
ブライダルのフリーランスの年収はどのくらい?
正確にデータをとっている機関はないようですが、先ほどのAとBに当てはまるフリーランスの年収の平均は、だいたい300〜400万円と見ていいでしょう。例えばフォトグラファーであれば、年間100件結婚式を撮影して、一件あたり3万円だとしたら300万円、平日別の撮影があればプラスで50〜100万円くらいでしょう。自分で集客している人であれば一件10万くらいにはなり、70件ほど撮影すれば700万円になりますが、これはごく一部のフリーランスのみです。また、会社員をやりながら、土日は副業という方はサラリーマンの年収によります。
ちなみに上手くいっているフリーランスは年収2000〜3000万円くらいになったりします。
ブライダルのフリーランスが上手くいくために必要なこととは?
では、上手くいくためにはどうしたらいいのか、それには9つのことを実行する必要があります。
もちろんこれが全てではないですし、これをやれば何もかも大成功するという保証はありませんので、あくまでも参考レベルになります。
1 技術を磨いて選択肢を増やす
高い技術レベルであるということは、フリーランスで生きていくための大前提です。
恐らくどのフリーランスの方も、これは特に意識していることだと思います。
技術があれば、クライアントが求めているものがどんなことであれ対応できますし、新しい商品やサービスを生み出すときの選択肢も増えます。それぞれの職種で技術はどんどん進化していくものです。常に勉強し、足りないモノがあればセミナーや尊敬する人に教わって、その他大勢に埋もれないように腕を磨きましょう。
2 ビジネスをしているという自覚を持つ
フリーランスとは、要するに個人事業主であり、事業を営んでいるということです。ただ、個人でやっているので、上司がいるわけでもなく、誰かに管理されたり、叱られたりすることは基本的にありません。良いことのように思えますが、誰にも管理されないということは、全て自己管理しなければいけないし、叱ってくれる人がいないのであれば、自分の悪いところを自分で見つけて直していかなければなりません。これは意外と難しく、ついつい納期が甘くなったり、時間を守らなかったりしてしまい、クライアントの信用をなくします。契約書も自分でしっかりと理解しなければなりませんし、何か起きた時のリスクヘッジも考えなければなりません。また損害賠償なども会社員ではないので自分でどうにかしなければなりません。
3 良い物、良いサービスなら売れるというのは間違い
フリーランスのよくある勘違いとして、良い物を作れば売れると思い込んでいることです。確かに良い商品、良いサービスというのは売れるために大事な要素なのですが、いくら良い物でも、誰にも知られなければ買われることはありません。さらに言えば、良い商品とは誰にとって良い商品なのかを考えなければなりません。自分が良いと思っているものと相手が良いと思うものは、ほとんどの場合違います。例えばウェディングのフォトグラファーの写真は、素人からすれば一部の人を除いてほとんど同じに見えるでしょうし、男性からすればヘアメイクの技術の違いはわかりません。他人から見て分からない程度の技術の差は、全く意味がありません。しかし、技術は上手く言語化して伝えることができればお客様にもその価値は伝わります。
4 他人が真似出来ないことをやる
どんなに優れたサービスや商品を作っていても、すぐに真似されるようなものでは長続きしません。誰にでもできるようなことではなく、自分しかできないものにしていく必要があります。例えば、実績や技術は簡単に真似されることはないですし、自分というキャラクターも真似されにくいです。ブログやSNSで、当たり障りのないことを書いても埋もれてしまいますが、個性を出せば、他の人からは真似されないものとなります。
組み合わせで真似出来ないようにすることも有効な手段です。例えば、可能かどうかはおいて、ヘアメイクとフォトグラファーが両方できる人がいたら、なかなか真似できるものではありませんし、その分価値が高まります。
5 戦略を考える
例えば、フォトグラファーであれば、現場で新郎新婦のために、どのようにして良い写真を撮影するかを考えて、実行します。これは戦術の話になります。ブライズルームが狭かったり、チャペルの撮影が席からしか撮れなかったりと、色々な状況があると思いますが、限られた条件の中でどのようにしてベストパフォーマンスを発揮するかに集中します。一方で戦略とは、どの現場に誰がいくらで、どんな条件でどのくらい撮影するかを決めることです。もっと言えば、どんな客層にどの金額で買ってもらうかということや、そのお客様をマタニティフォトなどのリピーターにするためにはどうしたらいいかなども含まれます。事業計画を立てるというと大げさかもしれませんが、行き当たりばったりで何の計画性もなくやっていて上手くいくほど、ビジネスは甘いものではありません。目的を明確にして、それを達成するためにどれくらいの労働量やコストがかかって、その時間や財源をどうやって作るのかを考えましょう。また、期日をしっかり決めて、いつまでに何をするかを考えて、実行する癖をつけましょう。ちょっとお金が溜まったらすぐ使ってしまうフリーランスは大勢いますが、漏れなくそんな人は上手くいきません。
フォトグラファーやビデオグラファーは機材を使う職業なので、レンズやカメラに投資したがるのですが、ほとんどの場合本当に必要なものではありません。どんな風に自分を見せて、どんなサービスをどの方法で広めて、どこで売ったら誰が買ってくれるのかということを、しっかり考えましょう。そして、そこで得た利益を何に使うのかも明確にしておくべきです。
6 チームを作り上げる
フリーランスである限り、身体が資本となります。怪我や病気で働けなくなれば、当然収入は途絶えてしまいますし、結婚式の仕事では致命的なリスクになります。司会者であれば声、ヘアメイクであれば手や指、カメラマンであれば手足を怪我したら終わりです。そうならないように、仲間と一緒にチームを作ることが重要となります。技術が同レベルで気の合う仲間というのは、そう簡単に見つかるものではありません。仮に見つかったとしても、目的やビジョンに相違があったりして、なかなか上手くいかないものです。しかし、技術レベルを無視して探せば意外とすぐ見つかります。技術は教えれば後からいくらでも身につけられますが、目的やビジョンに共感してくれて、付いてきてくれる人はいないものです。
7 成功しているフリーランスとだけ付き合う
ブライダルのフリーランスの特徴の1つとして、同レベルのフリーランス同士で付き合うというものがあります。当たり前といえば当たり前なのですが、人は似た環境の人といたほうが居心地がよくなります。性別、年齢、状況などが近ければ近いほど、そのグループにいることを好みますが、それでは上手く行かないのです。とにかく自分より上のレベルの人に近づくこと。これが上手くいくために重要なことです。上の人同士の会話についていけなかったり、相手が年下で、こちらの方が経験や実績が少なかったりしたら、恥ずかしいと思うかもしれません。それでもそれを恐れずに、いつも上のステージの人と積極的に関わることを意識してれば、必ず変化していきます。
8 仕組み化する
フリーランスはただ結婚式の現場に行って、業務をこなすだけが仕事ではありません。打ち合わせやブログやSNSなどの自己発信、営業や商品開発、知識のインプットや技術の練習、請求書の作成や入金管理など、やるべきことはたくさんあります。全てを自分一人でこなしていると、価値の低い仕事もやらなければならなくなり、「忙しいのに全然収入が増えない状態」となってしまいます。誰でもできることはなるべくアウトソーシングして、価値の高い仕事に時間を割ける仕組みを作り出すことが、成功への近道となります。請求書の作成や取引先との連絡、入金管理などは誰がやっても変わらないものです。忙しいが口癖になるとダメで、如何に時間を空けて、より価値の高い仕事をするかを考えましょう。
9 資産を増やす
ここで言う資産とは、「半永久的に残る、価値のあるもの」という意味です。例えば、ホームページやブログ、知識やノウハウ、マニュアルや人脈などです。ホームページやブログは一度作れば半永久的にアクセスを集め続けてくれますし、知識やノウハウも失われることなく仕事の幅を広げてくれます。マニュアルは自分のノウハウを人に伝える時に毎回一から教えなくて済むし、人脈は仕事や仲間をもたらしてくれます。このように、資産を増やしていけば、時間が経過するにつれてどんどん仕事が増えていきます。仕事が有り余っている状況になれば、値段を上げても大丈夫です。また、取引先の分散にもつながるので、収入の依存を避けることができます。
歳を重ねるほど、柔軟性や意欲が失われていく
例外はあるにしても、私たちが女子高生などの会話についていけないように、価値観はどんどん若い世代とズレていきます。20代の時よりも30代、40代の方が新しいことを学ぶ意欲も薄れていってしまいますし、これまで習慣化されたものを変えるのは難しくなってきます。今、この瞬間が一番若いのですから、早く動いた方が勝つのです。ブライダル業界全体が、未だインターネットに対するリテラシーが低いのは、環境もありますが、トップがよく分かっていないのも原因の1つです。FAXが当たり前のこの業界では、新しいことを学べば学ぶだけチャンスが生まれますし、自分自身の視野も広がります。斜陽産業と呼ばれるようになってからも、市場はまだまだ隙間だらけなのです。
何事も努力を惜しまない
当然のことですが、努力をしなければ何も生み出せません。楽して成功することもあり得ませんし、考えて行動しなければ無駄になります。今後ブライダル業界は、より厳しい時代になっていくことは誰でも理解していることですが、分かっているのに何もしないのであれば、将来も何も変わりません。今頑張っている人が将来必ず後悔しないで済むフリーランスとなります。
1985年生まれ33歳、東京都練馬区出身
日給1万円以下でアルバイトのビデオカメラマンとしてブライダル業界を経験し、結婚式場の販売価格と現場に払われる金額のあまりの差に疑問を持ち、一案件15000円〜40000円の下請け・孫請けの仕事で結婚式の現場に出ながらフリーランスとして活動を開始した。
25歳の時にFirst Filmというブランドで創業し、新郎新婦が自由な選択肢の中から好きなものを適正価格で選べるようになることを目指し、インターネットで直接選ばれる仕組みを構築。
売上は順調に伸び、2年後の27歳の時に株式会社VARIEを設立。写真や企業向け映像も事業として開始し、創業以来現在まで7年連続で売上最高値を記録。
現在はもう一つの会社、株式会社FOOLを立ち上げ経営の他にも現場の撮影をしながら講師業やコンサルタントとして活動中。